幼い二人の子供が仲良く手をつなぎ、道端に立っているような姿が印象的な双体道祖神です。
二神はともに綿帽子を思わせるものをかぶり、着物姿で並んでいます。その素朴であどけない姿からは、ほのぼのとした温かな雰囲気が感じられます。
男神は両足をしっかりと踏ん張って立ち、左手をお腹のあたりに添えています。目を閉じているような表情は、まるでまぶしい陽の光に目を細めているかのようです。一方の女神は右手を下へ垂らし、手のひらを正面に向けています。
一般的な双体道祖神に見られる男女の姿とは趣が異なり、二神ともに子供らしさを感じさせる珍しい造形です。どのような願いを込めて造られたのかは定かではありませんが、その姿から子供たちの健やかな成長や安全を願ったものではないかとも想像されています。
この道祖神には、その姿と同じくらい興味深い来歴が伝えられています。
もとは現在の松本市波田にあった若沢寺に祀られていましたが、明治初年の廃仏毀釈により同じ波田の盛泉寺へ移されたといわれています。
その後、上竹田・中耕地の山中松二(力士・岩の松)が、友人との力比べでこの道祖神を担ぎ、竹田の氏神様の境内まで運んできたと伝えられています。その重さは約65kg。現在ではなかなか想像しにくい、なんとも豪快な逸話です。
子供のような愛らしい二神の姿と、人の手によって土地を移ってきたユニークな歴史。数ある道祖神の中でも、ひときわ親しみを感じさせる一体です。