向かって左側に男神、右側に女神が配された、珍しい構図の双体道祖神です。
向かって左側、つまり像自身から見て右側が主座となる配置は仏教系の特徴とされ、さらに二神の足元には仏教を象徴する蓮の花が添え彫りされています。こうした特徴から、仏教の影響を強く受けた道祖神と考えられています。
山形村には、このほかにも「小人のささやき」「路傍の情熱の二」と呼ばれる仏教系の道祖神が残されており、それぞれの造形を見比べてみるのも興味深いところです。
この道祖神で特に目を引くのが、男女二神の大胆で躍動感のある姿です。
男神は女神の肩をぐっと抱き寄せ、さらに右足を、法衣の裾を広げた女神の両足の間へ踏み入れています。互いに強く寄り添う姿には、二神の親密な関係が力強く表現されています。
また、二神とも履物を身につけず、足の指まで表現された裸足の姿で刻まれている点も特徴です。
蓮の花の上で寄り添う二神の姿は、極楽浄土でいつまでもともにある男女を表しているようにも見えます。仏教的な意匠と、人間味あふれる大胆な人物表現がひとつになった、山形村の道祖神の多様さを感じさせる一体です。