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小人のささやき(こびとのささやき)

小人のささやき(こびとのささやき)

大きな石碑の中に、小さく寄り添う男女二神が刻まれた道祖神。男神が女神の肩を引き寄せ、向かい合う姿は、まるで二人で何かをささやき合っているよう。広い余白と小さな双像との対比も印象的です。

所在地
長野県東筑摩郡山形村3493−1

大きな碑面に対して、男女二神が小さく刻まれているのが印象的な道祖神です。

向かって左側に男神、右側に女神が配されていることから、仏教系の影響を受けた道祖神とも考えられています。

男神は女神の肩をそっと引き寄せ、女神は法衣の裾を広げています。小さな二神が向かい合う姿は、まるで互いに何かをささやき合っているようにも見え、素朴ながら親しみを感じさせる造形です。

この道祖神のもうひとつの特徴が、像の上部に残された大きな余白です。碑身そのものに対して双像が小さく、頭上には不自然なほど広い空間があります。

かつてこの部分に何らかの文字が刻まれていた可能性も考えられていますが、長い年月の中で風化して失われたのか、あるいは何らかの理由で消されたのかは分かっていません。現在では、この広い余白と小さな二神とのコントラストそのものが、この道祖神ならではの印象を生み出しています。

昭和10年(1935年)に中原常会ができた際、小坂・野瀬原にあった石仏群の中から現在の場所へ移されたと伝えられており、建立そのものはさらに古い時代と考えられています。

現在呼ばれている名称は、芦田英一著『道祖の神々』で紹介された際につけられたものとされています。

長い年月を経て失われたものと、今も石に残る二神の姿。その来歴を想像しながら眺めると、余白まで含めて興味深く感じられる道祖神です。