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酒樽(さかだる)

酒樽(さかだる)

盃を持つ男神と提子を手にした女神が寄り添う、祝言の場面を表した双体道祖神。台座に大きな酒樽が刻まれているのが特徴で、華やかな装いの二神が盃を交わし、夫婦の契りを結ぶ姿が表現されています。

所在地
長野県東筑摩郡山形村小坂3495−1

男女二神がひざまずいて祝言を交わす姿を表した「跪座祝言像」の道祖神です。

男神は左手に盃を水平に持ち、女神は右手に酒を注ぐための提子を下げています。そして男神の右手と女神の左手は、二人の袖の中でしっかりと握られています。

男神は衣冠束帯、女神は十二単衣を思わせる華やかな装い。盃を交わしながら固い契りを結ぶ男女の姿が、石の中に丁寧に表現されています。

この道祖神で特に目を引くのが、二神の立つ台座に大きく刻まれた酒樽です。酒樽には竹のタガまで表現されており、祝言と酒との深い結びつきを感じさせます。

日本酒は古くから祝い事や祭礼など、人々の暮らしのさまざまな場面とともにありました。道祖神にも盃や酒器がしばしば登場し、特に安曇野周辺の双体道祖神には酒器を添えたものが多いといわれています。

山形村でもこうした様式の道祖神が見られ、「車屋美人」をはじめ、酒樽や祝言を題材とした像が残されています。地域を歩きながら、それぞれの道祖神の姿や持ち物を見比べてみるのも楽しみ方のひとつです。

また、石碑の向かって左側面には「大正12年10月改刻」と刻まれています。全体を見ると陽石を思わせる形をしており、現在の姿になるまでに後世の人々によって手が加えられた可能性があると考えられています。

祝言を交わす二神と、その傍らに刻まれた大きな酒樽。夫婦和合や祝いの文化とともに、地域の人々が道祖神に託してきた思いを感じることのできる一体です。